わらもじとは
私たちを取り巻くIT社会で気軽にコミュニケーションが取れるようになり便利になりました。その一方で筆を使って文字を書く機会はどんどん減ってしまいました。その最たるものが、読めるけど書けない漢字が多い事と実感されている方はたくさんいらっしゃると思います。本当に伝えたい言葉や想いその根底にある心の叫びを一本のわら筆に託す。そしてわらもじ作品として完成させる。無限の表現力を持たせたわら筆で書く文字は心から湧き上がる想いをあるときは力強く、斬新にまたある時は言葉に合わせて優しくしなやかに表現できる心の文字です。
わら筆とは
お米を収穫した後に残る藁から作られます。私たちは大昔からお米を主食とし大地の恵み、命の糧として大切に扱ってきました。そのお米を収穫した後の藁にもお米一粒の魂が宿っています。この藁にも感謝の念を抱き制作いたしております。わら筆はどんなわらでもいいのかとよく聞かれます。自然のものが相手なので一本一本個性があります。全く同じ筆がないのでさまざまな表情を見せてくれると言うことにつながります。実際いろいろな藁を試しました。お米の味や粘りが違うのと同じで藁も違いがありました。「実験田んぼだよ。」と言われる方の田んぼに伺いました。まず土が違いました。そこは無農薬栽培で作られている田んぼでした。稲刈り後に伺いましたが土がふかふかでした。この土には農薬がないので多くの有機生物がいます。彼らが土を健康にしてくれていい仕事をしているわけです。当然その上に植えられているお米、稲わらも健康で太くしなやかでした。私には農業の知識はありませんが簡単に短期間で無農薬の土になるとは思わなかったのでお聞きしました。今のこの土の状態にするにはどれぐらいかかりましたか?と。「10年かかったよ。」未来の子供たちにいいものを残したい、伝統を伝えたいという思いで作られているお米の藁をわら筆は使わせていただいております。
わら筆で作った作品